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江ノ電
フィッシュナビのブログでは、私と出会う魚や生物、そして鎌倉の身近な自然と季節を日常生活に交えて記事にしております。
普段そこにいる誰もが目にする光景ながらも、(当たり前すぎて)見過ごしがちな素朴なネタを見つけ、そこに秘めた魅力を浮彫りにしていきたいと思います。自然が相手なので記事の更新は気まぐれ!でもコツコツ地道に発信していきますので、読んでくださった皆さまにとって何らかの情報になれば幸いです。何気ない散歩道が、もしかしたら今までにない輝きを放ち “特別な場所” に変わるかもしれません。
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★鎌倉淡水魚紀行★ 神戸川物語(第5話)名脇役/野生のウナギ観察

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夏の神戸川でアユの撮影をしていると、カメラのファインダー越しに思いがけない珍客が入り込むことが多々あります。ウナギもその一つで、予期せぬ出現にいちいち驚かされますが、同時に生物の豊かさを感じさせてくれます。ここ神戸川には、アユをはじめ、多くのハゼの仲間、モクズガニや手長エビなどの甲殻類が生息しておりますが、これらが生息する川には、ほぼ100%の確率でウナギもいると考えてよいでしょう。特にこれら魚同士に密接な関係はありませんが、川と海を往来する点では生活史が共通しており、ちゃんと海と川を往来できている証拠だからです。そして何よりも、またそれら多彩な生物が生息している事で、水質の良さを裏付け、またウナギにとって最高の餌場をもたらせてくれます。

ウナギの知名度は100%!大衆的で誰もが知っている魚です。しかしそのウナギの私生活についてはまだまだ知らない事だらけです。因みに、野生のウナギ(成魚)の生活史は、海と川の2重生活をしますが(池や沼などの止水域で育ったもの、放流されたものは除く)、その海洋生活は、繁殖を目的とする旅なのですが、一体「どこで?」「どのように?」産卵をしているのかずっと謎に包まれておりましたが、ところが近年の海洋調査で、何と日本から2000キロ離れたマリアナ沖の深海であることが判明しました。

そこで生まれた赤ちゃん達は、暖流にのって日本諸々へ運ばれ、各河川を生活の場として成長します。そして、成熟期を迎えると再び海へ下り、繁殖のためマリアナへと旅立ちます。もう聞いているだけで気の遠くなる話ですが、ウナギの生涯そのものがトライアスロン耐久レースなみの強行スケジュールで、それを代々繰り返すのです。          

日本では昔から食され“スタミナのつく食材”として、またそのイメージキャラとして不動の地位を築いた魚ですが、何よりもウナギ自身がとても驚異的なスタミナの持ち主であることを付け加えておきましょう。

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これはウナギが獲物(モクズガニ)をハンティングする様子を遂にカメラでとらえる事ができました。基本的にウナギは夜行性といわれますが、今回のように真昼でも摂餌活動することがあるようです(正午12時、炎天下の撮影)。
ウナギは視力が弱い魚ですが、その代わり嗅覚に優れ、また獲物から発する何らかの波動を察知し、少なくても人間にはない感覚を持っているようです。徐々にアプローチし、獲物に巻込み感触を確かめながらガブッと噛みつきました。この川でウナギがモクズガニを襲う光景を幾度も目撃しましたが、あえて口に入らないサイズのモクズガニに執着したのは何故でしょう。もしかしたら、そのカニはソフトシェル(脱皮直後の柔らかい殻)で食べやすい事をウナギ自身が知っていたのかもしれませんね。
カメラで捉えられたのはここまで。カニにガブっと噛みついたウナギは、体をグルグル回転させ大暴れ!無我夢中でシャッターを押しましたが、川底で煙幕が巻き上がり被写体不在の駄作にて終了。あぁ悔しい!
そういえば、ここ最近、川底にモクズガニの破片をよくみかけるという奇怪な現象に遭遇しましたが、おそらくウナギの仕業だったのでしょう・・・。

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これもウナギのハンティング風景。
ウナギに追われ、岩穴に逃げ込んだウキゴリやヨシノボリを探している様子をカメラでとらえました。ウナギの動きは変幻自在で、前後・左右・上下、そして急停止に急発進と・・・全く予測ができず、撮影者泣かせなヤツです。見る限り、成功率は低くお世辞でも「上手な狩りですね」とは言えませんが、餌が豊富な環境なのでしょう、体が大きくとても太っております。

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そんな身近な川で見るウナギたちも、いつの日かマリアナへと旅立つのでしょう・・。

ここ近年、ウナギは全国規模で減少の一途を辿り、今となっては希少種になりつつあります。
幼魚の乱獲(※)、環境破壊など様々な要因がありますが、ウナギを取巻く多くの問題が潜んでいるのも事実です。

※)因みに市場に出回っている養殖ウナギは、天然のウナギの幼魚(シラスウナギ)を捕獲して、それを養殖場で適度な大きさに育てられたものを市場に出荷されます(半天然+半養殖)。なせかというと、卵を孵化させることまではできるのですが、孵化した幼生が一体「何を食べて」「何を栄養」としているのか分からないのです(これを初期餌料といいます)。近年の水産研究や技術の進歩により完全養殖の成功例も出ておりますが、その技術の確立(それから実用化)にはまだ時間がかかりそうです。よって、今でも天然幼魚に依存しているのが現状です。

昔は、いかに獲ったか? が評価された時代でした。しかし(今も含め)これからの時代は「いかに資源を維持・持続しているか」が重要で、この生態系に人間がどのように関わり、獲っても資源が減らないようなバランスを我々人間がシッカリ考えなければならない時代になりました。
(ウナギに問わず)資源が少ない獲物に出会った時に「(欲に任せて)獲るのか?」「獲っても速やかに逃がしてあげるか?」「(未来を見据え)見守ってあげるのか?」の見極めが大事になり、資源を維持する上で(法や条例に頼ることなく)我々一人一人の与えられた今後の課題なのかもしれません。
保護観点上、私は同じ「とる」でも、“捕る” のではなく “写真で撮る” 方を選びました。少なくても、資源が回復するまでは「見守る」事にしました。そんなウナギとの付合い方や楽しみ方もアリかなと考えております。

しかし、そんな私は小さい頃から “大のウナギ好き” であることもつけ加えておきます。
獲るのも大好き、飼うのも大好き、そして食べるのも大好きで、もっともっとウナギのことをもっと知りたいですし、もっとウナギと親密な関係でもありたいです。なので、ウナギの資源が回復するまでは、我々がシッカリ守ってあげないといけないとなりません。その恩恵に預かれる日を心待ちにしていきたいと思います。

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